「こんなに長い間いままでどこで眠っていたの？」思わずそんな驚きの気持ちにも似て数年前に関西の老舗中古カメラ店で発掘？したのがこのニコマートFTNでした。撮影に使用された痕跡は無くまさに工場出荷状態そのままで裏蓋を開けばシャッター幕の保護シールさえ入っていました。1967年に誕生したニコマートFTNですが当時は旗艦モデルFシリーズの下位機種（私はそうは思っていなくて弟分と認識しています）としてTTL露出測光を備えて通称カニの爪と呼ばれたレンズ絞り環を連動させる事で解放F値がセットされるという方式が採られました。ニコンのカメラが全般的に極めて頑強に造られている定説に違わずこのニコマートに取り付けるレンズは当時の時代背景に即してオールドニッコールの名玉Nikkor H-Auto 50mm F2を選んでボディに添えてお付けします。その他、上面から覗いて花などの近接撮影に便利な元箱入ニコマート用アングルファインダー（未使用状態）、リモートケーブルレリーズコードAR-3（超美品）、数が少なくなったソフトシャッターレリーズボタンAR-1（超美品）、未使用状態の専用革ケース、他ボディ元箱・取説一式などを揃えました。便利さばかりが優先される中、ほんの少し立ち止まって露出を計り、ピントを合わせ、レバーを巻き上げて、シャッターを押す、そのように敢えて往時の不便さを段階を重ねる事で楽しむという豊かな時間にニコマートと共に浸ってみるのもまた素敵な事ですね。ご検討のほど宜しくお願い致します。